Walk Don't Run

日常にいくばくかのジワリがあれば

「オランダの片隅で、コロッケをたべる」

タイトルは「世界の中心で、愛をさけぶ」のリズムをイメージして書いたのだが、全然似ていなかったのでひとまず謝罪しておく。

 

 

オランダに行った際、とある人の勤務先を訪ねてみようと計画したことがあった。 仕事でたまにメールをやり取りする必要のある程度の関係。 声も顔も知らない。 しかしメールの文面からは紳士的で驕らない性格が感じられ、何となくではあるが好感を持っていた。

出張中に自由な時間があったため、電車で彼の働くオフィスを訪ねるべくアポイントを入れておいた。 「夕方からは用事で出てしまうけど、それまでなら特にいつでもいいよ」という返事だった。

 

アムステルダムのスキポール空港に着いたのは午前中だった。 オフィスまでは電車に1時間も乗れば行けるはずだ。 いま思えばこの時間的余裕が油断を生んだに違いなかった。

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私が乗ったのは別の方面に向かう完全に間違った電車だった。 しかも急行か特急に該当するものだったらしく20分経っても30分経っても停車する気配が無い。 正直私はテンパっていた。 スマホは持っていたもののSIMは入っておらず、モバイルルーターも無い。 頼れるものはオフラインの地図と英語辞書くらいのものだ。

 

プチパニックに陥った私は深い考えも持たず、とりあえず最初に停まった駅でいったん下車することにした。 落ち着いてから周りを見渡してみると、何でここに停車するのか理由がわからないくらいの何もない駅で、乗降客もほとんどいなかった。

私はそのまま反対側のホームで逆方向の電車を待つことにした。 しかし通過列車はたまにあるものの、電車は一向にやってこなかった。 ますます不安になってくる。

 

飛行機を降りてから何も食べていなかったことを思い出し、とりあえず腹ごしらえを考えた。 カバンには何も食べ物は入っていない。 おそらく駅にも食べるところは無さそうだ。

ふと見渡すとFEBOのコロッケ自販機を発見した。 オランダの街中でよく見かける、コインを入れて小さな扉を開け自分でスナックを取り出すタイプのものだ。

Dutch Fast Food幸いポケットにコインはたくさんある。 私はスティックタイプのコロッケを2個購入しホームでボーっとしながら食べた。 相当なアホ面をしていたと思う。 コロッケはアムステルダムで食べた時よりだいぶ美味しい気がした。

 

その駅には1時間くらい居たのだろうか、逆方向の電車が来て、乗り換えを経て目的地に着いた時には時刻は16時を回っていた。 そこから歩いて彼のオフィスへ向かう。

 

 

結局タイムオーバーだった。 着いた時、彼は同僚に伝言を残しオフィスを出た後であった。

 

 

帰国後、謝りのメールを送ったところ、「また次の機会があるよ」と返事をくれた。 しかしそれは実現しなかった。 半年くらい後に彼が勤務先を辞めてしまったからだ。 連絡を取るのも結局それっきりになってしまった。

 

向こうからしてみればその程度の関係だった、と言われればそれまでだ。 しかし、このとき私がおかした不注意で彼に会うことができなかったという事実は今になっても頭から消えることは無く、ふとした時にそれを思い出す。

 

 

 

このほろ苦い経験から得た教訓は、「人生は全て一期一会」とか「人との出会いは何百という偶然が重なった結果である」とか、そんなカッコいいものではない。 私が伝えたいことは一つ。 「しらない土地では恥ずかしがらずに駅員さんに聞いてから電車に乗ろう」 ただそれだけだ。