自分以外には何の価値も無い旅行記。(後編)

【前編はこちら】

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懐かしの味を食べることは叶わなかったが、嬉しいことに20余年前に僕が住んでいたアパートはそのまま残っていた。 外壁こそ別の色に塗り替えられていたがそれ以外は外から見る限り全く変わっていない。 僕が住んでいたのは2階の角部屋、当時家賃33,000円だったかと思う。 大学で紹介してもらったそのアパートはもちろんちゃんと風呂も付いていたし、キレイで静かで初めての一人暮らしには申し分ないところだった。 嬉しくて懐かしくてアパートの写真を撮ったりしばらく眺めていたりしたところ、たまたま現住人が出てきてちょっと訝しい顔をされたのでそろそろ退散することにする。

アパートから歩いて2分、学生ならではの不規則な生活で夜中に目が覚めてしまった時によく行っていたセブンイレブンも健在だった。 あまり同じ店ばかりに行くのもはばかられるのでサブとして使っていた徒歩5分のローソンも。 深夜3時4時、散歩がてらブラブラと雑誌やカップラーメンを買いに出て、帰りはちょっと遠回りして帰っていたのを思い出す。

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いわゆるリア充な大学時代を過ごしたヒトならば、「よくこの居酒屋にみんなで集まったなぁ」とか「そのあとあのカラオケ屋に行くのが定番コース」「この駅前でよくナンパしてたっけなぁ」とか、そんな想い出がどんどん湧き上がってくるのかも知れない。 しかし僕が懐かしく思い出すのはしょーもないことや場所ばかりだった。

若さゆえの食欲でいつも弁当を二つ買っていたほっかほっか亭。 唐揚げ弁当と天丼、焼肉弁当と幕の内。 今ではとうてい実現不可能な組み合わせを余裕でこなしていた。

急にフライドチキンが大量に食べたくなり、ボッチのくせにファミリーパックを買いに行ったケンタッキー。 深夜のアルバイトから自転車で帰る途中、よくチャンポンを食べていたリンガーハット。

エキサイティングなビデオを借りる姿を知り合いに見られないようわざわざ一駅離れたレンタルビデオ屋に行っていたこと。 当時はまだDVDなんてものは無くVHSテープだったので調子に乗って5本とか借りてしまうと僕のリュックははち切れんばかりにパンパンになった。 そしてはち切れんばかりの期待を胸に、そのリュックを背負って自転車を飛ばし帰宅していた。

大都市では無いことが逆に幸いしているのだろうか。 僕の想い出の場所は来る前に想像していたよりは多くそのままの姿で残っていた。 それが嬉しくて知っている道を特にあてもなく車で走り回ったりもしてみた。 断片的だった記憶が次々と線でつながっていく感覚が楽しくていつまででもこの街にいることができそうだったが、一応旅行の途中なので他に行かなくてはならないところもある。 今回はこれで終了としよう。

20余年ぶりの地は思いのほか変わっていなかった。 そして僕もあまり変わっていないのかも知れない。 当時から成長している感じが全くしないもんな。。。

しかし、とりあえずは無事に、元気に、健康で、ここに戻ってくることができた。 それだけでもスゴイことだ。  大丈夫、まだ終わっちゃいないさ。 そんなキザなセリフを言ってみたくなりちょっとだけ恥ずかしくなった。

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