コロナウイルスで静まり返った街をゆく。

時事ネタみたいなのにはあまり気乗りがしないのだが、このような状況は今後体験できないかも知れないので記録として書いておこうと思う。

ちょっと買いたいモノがあって大阪は日本橋に降り立った。 東京で言うところの秋葉原、電器とオタクの街である。

普段であれば主にアジア圏からの観光客とオタクカルチャー好きを中心に常に賑わいを見せるこの街だが、少し歩いただけでその異常な事態を思い知らされることとなった。

時刻はまだ19時前後、通常であればまだ営業時間内の店舗がほとんどであるはずなのだが、比較的遅い時間まで開いているはずの飲食店ですらシャッターを降ろしているところが目立つ。

いつもは中国人観光客に向けて元気な呼び込みをしているドラッグストアも店内に客は数人。 店員もいささか手持ち無沙汰な感が否めない。

私は目当てのモノは買えたからいいものの、他の店を色々と覗くのもままならず、そそくさと街を後にした。

その数日後、また別の用事で今度は新今宮から新世界エリアへ。 元々日雇い労働者のイメージが強くあまり治安が良いとは言えない場所だが、近年は旅行客向けの安い宿も増えたことから海外からの観光客が急激に目立つようになった街である。

少し前に訪れた時も、大きなリュックを背負ったバックパッカーやスーツケースをゴロゴロと転がす若い女性観光客でかなり賑わっていた感があったが、今回は全然様子が違う。

言葉は悪いがまたドヤ街へと逆戻り、とでも言うべきか。 海外からの旅行客の姿は激減し、飲食店やホステルを覗いてみても全く活気が無い。

もちろん、こんな状況下でガヤガヤと賑わっていたらそれはそれで大問題ではあるのだが、いくらなんでもここまでとは・・・と思わざるを得ない。

コロナは抜きにしても、これまでの活況は完全にインバウンド頼み。 そのハシゴが外れたら一気にこれなのかと。

普段はそんなこと考えたりしないが、これはさすがに経済への甚大なダメージを真剣に心配せざるを得ない。 会社勤めならその影響を長期的にジワジワと受け止めることができるとしても、自営やあるいはそれこそ日雇い労働者のように直近の収益が生活に大きく関わってくるヒト達にとってはまさに死活問題になりかねない。

自分にとって今はまだ多少他人事のような感覚でいられるものの、さすがにこの先を、大げさに言えばこの国の未来を考えた時にいささか不安を覚えてしまう経験であった。

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