大阪は天王寺に出掛けた折、昼食をどうしようかと考えた。 ランチタイムの混雑もちょっと落ち着いたと思われる14時過ぎ。 しかしこういう大きな街だと油断はできない。 とにかく人混みの少ないところでゆっくり食べたいので少しだけ中心部を離れることにした。 とは言えたかだか2、300メートルくらいだけども。
何を食べようか。 何となくエスニックとか辛い物が食べたい気分。 どうせなら今まで行ったことの無い店に行こう。 とりあえず近辺で思い当たるのはいつも前を通る度に気になっていたタイ料理メインの店だが、店の前まで行ってみたところ若い女性グループのお客さんが多そうだ。 もちろんそれ自体に何の問題も無いしむしろ好ましいのではあるが、何と言うか今日は静かなぼっち飯を楽しみたいモードなのである。 今回は縁が無かったということでまた次回以降にいたしましょう。。。
さて、となるとどこへ行こうかとしばし考えつつスマホのGoogle Mapをグリグリ。 そうだ!あそこへ行ってみよう。 以前通った際にだいぶ後ろ髪を惹かれつつも結局入らなかったネパール料理店。 しかも場所はあべのベルタ内という程良い鄙びた感。 ここなら若い女性グループはまずいないだろうからぼっち飯を堪能できるはず。 てか楽しみ方の基準な・・・
そうと決めたら話は早い。 早速行ってみますと店内にはカップルが1組のみ。 はい決まりです。
でも店の前にメニューとか色々と貼ってあるので気になっちゃってしばらく眺めていたところ、店員さんに「良かったらどうぞ~」と声を掛けられる。 ハイハイそのつもりですお邪魔します。
席に着きメニューを眺める。 正直なところ店に入るまではベタにカレーとナンを食べようかと考えていた。 しかし先程店頭に貼ってあったある一品がどうしても気になる。 「初めての店なんだからとりあえず王道からいっとけ」「いや、気になるメニューがあるのならチャレンジしなくてどうする」 しばし葛藤した後、今回はチャレンジすることに決めた。
その一品に書かれていたキャッチコピーは「ネパールと言えばダルバート」「定番の定食」 やっぱりローカルの定番料理、しかも食べたことない物となったら気になり過ぎる。 恥ずかしながら今まで名前すら聞いたことなかった”ダルバート”を注文することに決め店員さんを呼んだ。
「このダルバートってめちゃめちゃ辛いとかそういうのはないですか?」 別に辛い物は苦手でもないのに無意識に聞いてしまう。 「カレーと同じように辛さを選べますよ」 なるほど、でもそうやって聞いた手前なんだか辛口は頼みにくくなってしまい結局中辛(普通)をオーダーすることに。 「パクチーは大丈夫ですか?」 はいもちろんです、ガンガンいっちゃってください!
ほどなくして運ばれてきたダルバート、なるほど何だか美味そうだ。 待っている間にGoogleで調べてみたところ、ダルバートの”ダル”は豆を使ったスープ、”バート”は米飯のことを指すようで、それらに野菜のおかず類や漬物が加わって「ダルバート」という定食が完成するということらしい。 いやぁ、たかだか一回の昼飯のことではあるけれど世の中には知らない食べ物がたくさんあり何事も勉強だと思った次第。
色の薄いカレーのように見える”ダル”を一口食べてみると、想像以上に優しい味。 語彙に乏しくて申し訳ないがスパイスや香草は感じるもののマイルドで食べやすい。 これなら辛口でも良かったかな、、、と思ったものの最初はスタンダードを知っておくべきかな。
サフランライスにかけてみる。 僕はパサパサ系のインディカ米が好きなのでありがたい。 エスニック料理の店で日本米だとちょっとガッカリしません? うん、カレーみたいな刺激は無いものの、日常的に食べるのならこういう優しい味になるのだろう。 日本で言えばご飯とお味噌汁のような関係なんだから。 そういえば上に乗ってる梅干しが意外と合うのでゼヒ、と言われたんだった。 ちょっと混ぜてみると確かに風味が結構変わってこれはこれで良いかも。
あと、付け合わせの野菜は優しい味なんだけど、大根を使った漬物が結構辛くて濃い目の味付けなんで、これを時々ポリポリと齧りながら食べ進めるのがバランス良しです。
ウマイウマイと食べていると店員さんが「辛さはどうですか?」と聞きに来てくれた。 「大丈夫です。美味しいです」とアホの子みたいな返答をしてしまったのが気恥ずかしく、幸い他のお客さんもいなくなっていたので「これがネパールの国民食なんですか?」とこれまた何のヒネリも無い質問をしてしばらく会話を続けることになった。
「そうです、まさに国民食。一日二回食べることも多いですよ」 「これは野菜だけですけどダルにはお肉を入れたり色んなパターンがあります」 「お米の代わりに日本のそばがきみたいにそば粉を練って丸めたもので食べることもありますね」 「結構日本人の食事と共通する部分もあって何でも食べやすいと思いますよ」 等々、結局たくさんの事を教えてもらうことに。
いやぁ、食事をしながら異国の文化を学べる。 こういうコミュニケーションは何だか嬉しい。 普段コミュニケーションが苦手なタイプだけど、だからこそこうした何気ないやりとりが貴重なんである。 空腹だけでなく、気持ちや知識欲も満たされる素晴らしい昼食となりました。 また機会を見つけて訪れてみたいと思う。