帰り道、運動も兼ねて一駅二駅くらいを歩くことがしばしばあるのだけれど、その日はなんだかやたら腹が減ってしまっていた。
昼食のご飯の盛りが少な過ぎたかな・・・などと考えつつ、このままではおそらく家までは持ちこたえられそうも無いと判断、途中で軽く食べていくことに決める。
そんなに都会を歩いている訳ではないので選択肢はそこまで多くない。 Googleマップを眺めつつ駅周辺をブラブラ。
ひとつ気になる焼きそば店があったものの、ちょっと焼きそばの気分ではないかなぁと思ってパス。 普通の居酒屋とかラーメン屋でもいいか・・・と思い始めていた時、微かに鼻を刺激するスパイスのような香りが漂ってきた。
普段はどちらかというと優柔不断なタイプなのだが、不思議とこの日は本能的に「これしかない!」と直感。 なんだろう、嗅覚と脳が直結してカラダに指令を出したような気持ち良さ。
香りを辿ると果たしてそこはカウンター席のみのこじんまりとしたカレー屋さん。 ちょっと落ち着いて食べたかったので混んでいたら止めておこうと思ったのだが、幸い持ち帰りの客が1組いるだけだったので迷わず突入です。
テイクアウトの客が帰ると店内には私とインドかネパールからかとおぼしき店主、同じくシェフの3人だけとなった。
人の良さそうな店主が「今日は寒いネ」と話しかけてくる。 私は世間話が得意ではないのでこういう時にあまり話が広がらず申し訳ない思いをすることが多いのだが、異国のヒトから会話を振られ、ちょっとぎこちなく会話をするのは嫌いじゃない。
「なんか急にお腹減っちゃって、カレーなら暖かくなりそうだなって思って」
とわざとらしくお腹をさすりながらこたえてみる。
メニューを見ていると店主が「ドリンクサービスだから、何がいいデスカ?」と聞いてきた。 マンゴーラッシーと普通のラッシーとアイスティーか・・・ここは普通のラッシーいっとこかな。
最初はインドビール飲もうかという気も少しだけあったんだけど今日はやめとこう。
今さっき、カレーなら暖かくなりそうだから、とか言ってたくせにメニューを眺めるうちに焼きそばが気になってきた。 ここに来る前にいっぺん焼きそば店になびいた影響も残っているのだろう、どうしても麺を食べなければいけない気がする。
お初なのにカレーを食べないってのもなんだけど、今日はチョーミンいかせてください。
シンプルなベジタブルチョーミンも美味しそうだったんだけど、迷ってチキンチョーミンを注文。
店主とは違って寡黙な感じのシェフが鉄板からカチカチジュージューと心地良い音を鳴らしながら手際よく作ってくれたのがコチラ。
めちゃめちゃ美味そうやん。 銀のお皿の上でモクモクと湯気をあげているのも最高である。 そして鼻腔を刺激するスパイスの香り。
味付けを選べたので辛口でオーダーしたのだが、決して辛すぎることはなくどんどん食が進む。 そして先程サービスでもらったラッシーをたまに飲むことで口の中が一回リセットされてまた新鮮な気持ちで食べられるのも嬉しい。
誤算だったのは思ったより量が多かったこと。 家でも晩御飯食べる予定なんだけど結構満腹に近いであります。 まぁいっか・・・
軽く鼻水を垂らしながら美味しく完食。 ごちそうさまでした。
残ったラッシーを飲んでいると店主が「ひさしぶり?」と。 一瞬何のことかわからずポカンとしていると「ココ、ひさしぶりデスカ?」 なるほどそういうことね。
「いえ、初めてです。ちょっと近くで仕事の用事があってこの辺に来たんです」と、初めてなのは本当だけど微妙なウソをついてしまった。 別に「散歩がてら歩いてたら見つけた」って言えばいいのにいつもこういうしょーもないウソが口から出てしまう。
お会計しながら「またよろしくお願いシマス」とポイントカードをもらい、「はい、また近いうちに寄らせてもらいますね」と私。 次はカレーを食べてみようと思った。 あとビリヤニも気になるしね。