皆既月食の夜、立ち食い寿司を5貫だけ。

皆既月食が見られるという夜、空には雲もなく空気も適度にひんやりしていて気持ち良い。 仕事は結構早めに上がったのでせっかくのこの天体ショーを見ていくことにした。

あんまり都会に行くとヒトも多いし空も明るすぎる。 こじんまりとした駅に降り、そこから月を眺めながらしばらく歩くことにする。

改札を出て月を探すともう既に少しずつ欠け始めているところだった。 方角はというと帰る方向とはちょっと違う。 まぁでも、どっちに歩いたっていつかは駅にぶつかる。 普段とは違う路線にのって遠回りしたって構わない。

しかし今夜の空はまさにベストコンディションと言って良いのではなかろうか。 流れてくる雲すらも見られず、月との間を遮るものは何もない。

マンションの前や公園にはスマホを掲げて月食を撮ろうとする老若男女。 望遠レンズの付いた一眼レフを構えたマニアっぽい人もちらほらと。

私は写真も撮らず、ただ月の方に向かってアホ面で上を見上げて歩いていた。 ネットのニュースを見てみると何時何分に月が完全に隠れ、そして再び現れるか詳細な情報が載っている。

とりあえず完全に隠れるまでは眺めながら歩こうと決めた。 どうやら隠れている時間が結構長いので再び現れる瞬間を見るにはだいぶ待たなければいけなそうだ。

30分くらいぷらぷらと歩いていると最後に線のような円弧が見えた後に赤黒いような月が残った。 もっと完全に黒いというか、ほぼ見えなくなるのをイメージしていたのでちょっと意外。 でもこれはこれで神秘的というか眺めていても飽きないね。

とは言え、再び輝き始めるまで待つのは流石に長すぎる。 時間潰しも兼ねて飲食店を探すことに。

月に向かってとにかく歩いた結果、ほとんど馴染みの無いエリアにまで来てしまっていたので完全なる新規開拓をしなければならない。 地下鉄の駅もあるそこそこ賑わいのある街なので食事処や飲み屋には困らなそうだ。

でもあんまりガッツリと食べる訳にはいかない。 帰った後に晩御飯は晩御飯でちゃんとあるので。

立ち飲み屋で一品二品だけ食べて出ようかな・・・と考え始めていたところ目に留まったのが立ち食い寿司の暖簾。

間口の狭い、カウンターだけの小さな店。 おそらく6名くらいしか入られないだろうが幸い先客は3名、しかも角のスペースが空いている。

よしここだ!と暖簾をくぐった。

切り盛りするのは親父さんひとり。 何飲みましょう、と聞かれ少しだけ迷ったあと麦焼酎をロックで。

いいちこのグラスに入れられた焼酎と小皿に盛られて出てきたガリをちびちびとやりながら注文を練る。

なるほど紙に記入して渡すタイプなのね。 じっくり考えられるし声掛けるタイミングをはかる必要も無いしでこれはなかなかいいかも。

そしてマグロは一貫50円というお手頃価格で嬉しい。 ボリュームゾーンは100~150円くらいって感じなのかな。

とりあえず50円メニューを軸に好きなアジとイカを加えて5貫を注文。 貝類とかも食べたかったが今日はガマンなのである。

親父さんが手際よく握ってくれて寿司到着。

いつも回転寿司ばかりだから、こうやって並んで出てくるだけでなんだか感激だ。 美味そう。 (もちろん回転寿司もじゅうぶん美味しい)

なによりこうやって立ち食いで寿司をちょいとつまむっていう小粋な(自分がそう思ってるだけなのか)雰囲気を味わえるのがなんとも嬉しいね。

5貫だけなので当然すぐに食べ終わってしまいお勘定。 ごちそうさま。 うん、ここはまた寄らせてもらいます。

外に出てみると月はまだ隠れたままだった。 地下鉄からいつもの路線に乗り継いで最寄り駅に着く頃にはまた輝き始めているかしらね。

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