ずっと気になっていたクラフトビアバーにようやく行けた話。

行こうと思いつつなかなか縁が無いお店というのがある。 都合がつく日がいつも定休日と重なったり、いざ行ってみたら満席で入れなかったりとか。

その店も存在は10年以上前から知っていて場所も普段の行動範囲内にあるのだけれど、何となく今までタイミングが合わずで行きそびれていていた。

ある平日の夜、なんだか蒸し暑くてノドも乾いたし今日こそ行くべきなのではないかとふと思い立ち、仕事帰りの電車を途中下車して向かう。 半地下にある店には先客が数組、混み過ぎても空き過ぎてもいないちょうど良い雰囲気だ。 やはり今日だったんだな。

カウンターに座ると、スタッフの女性がメニューと共に各ビールの特徴をひと通り説明してくれるのだが、初めて知ることやなるほどと思わせる情報がどんどん出てきて、これぞクラフトビアバーとなんだか嬉しくなってしまった。

まずはTap No.5の「お酒マンIPA」というヤツをオーダー。

つきだしでチビチビとやった後、おつまみに和風ポテサラを頼んでみた。 ガッツリ系のメニューにも惹かれたのだけど、この後家で夕食も食べる訳だし軽く済ませておかねばならない。

オーナーとおぼしき男性がボテサラを運んできて、料理の説明をキッカケに細やかな気遣いで話しかけてくれる。 私が姉妹店には何度か行ったことがあるもののここは初めてなこと、沿線に住んでいるのでお店の存在はずっと前から知っていて気になっていたことなどを伝えると、オーナーは創業時からの歴史を懐かしそうに話してくれた。 以前はオーセンティックバーを経営していたこと、この店の開業時にはまだまだクラフトビールに対する認知度が低く色々と苦労したこと。

今のクラフトビール業界がいささか供給過剰というか、ブームに乗っかって参入するも安定した品質での継続供給が難しく経営的にも安定しないところが多く淘汰が始まっていること。 観光地エリアではインバウンド需要が見込めるのでクラフトビアバーでの提供価格もだいぶ強気になってきていること。 東南アジア各国でもクラフトビールのブームでどんどん新しいブリュワリーが生まれていて相対的に日本の立場や存在感が薄れていく可能性があることなど、実際にその業界にいる人ならではの生の情報をたっぷりと聞くことができ、新鮮で貴重な時間を過ごすことができた。

一杯目を飲み干し、もう一杯だけ頂くことにする。 設置してあることが珍しいハンドポンプサーバー?(正式名称失念・・・)で提供されるTap No.12の「こざるIPA」をオススメされたのでそれを。

なるほど細やかでクリーミーな風味で、確かに家ではこれは飲めないなという感じ。 いやぁ色々と知らないことだらけで勉強になります。

今日はここまでとして帰ることに。 良い時間を過ごせました。

正直なところこういう場所で飲むのは自分にとってはそれなりに割高で贅沢なことなんだけど、こうやって新しい情報に触れたり、未知の味を楽しんだりできるのは正にプライスレスであり、単純に金額で判断できることではないな、と。

また折を見て訪れてみたい店となった。 思い切って来てみて本当に良かった。

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