前回、遠い昔の学生時代に買ったMacintoshについて一度書いただけなのに、勝手にシリーズ化してみる。
大学入学の際に買ったMacについては、大した活用もしないままに卒業時にどこかに売ってしまった。 そのまま保管していれば今なら結構価値があったかも、なんてことも考えるが、ノートPCと違ってとにかくクソ重いし嵩張るし、引っ越し前に売ったのはやはり正解だったのかもしれない。
その後、就職して上京したのだが、最初に買ったのがNECの「モバイルギア」という、今思い出してもなかなかイケてるガジェットだった。
僕が持っていたのはこれよりもっと古い1996年頃のモデルだったのだが、今で言うところのウルトラモバイルPCサイズにどこへでも気軽に持ち運べる重量、バッテリー切れの心配不要な単三電池駆動。 画面は粗いモノクロ液晶で、もちろん写真や動画なんてものは観られないが、キーボードはすこぶる使いやすくテキスト打ちが捗った。
まぁ、こんなガジェットが必要になるような高度な仕事はしてなかったので、もっぱら遊びでチマチマとイジってただけに過ぎないんだけども。
何より自分にとって画期的だったのは、これまでのスタンドアローンから「パソコン通信」というネットワーク、インタラクティブな世界を知ったことだった。 「インターネット」が普及する前の時代、もちろんWi-Fiなんてものは無いので、使う時はいつも固定電話のケーブルを抜いてきてこのモバイルギアに差し替えていた。
今の若いヒト達にはたぶんうまく伝わらないだろうけど、アナログモデムが発する「ピー、ゴゴゴ、ジー」という接続音と無事つながった時の安堵感。 通信料金を節約するためには、定額で使い放題になる時間帯「テレホーダイ」タイムが始まる23時まで待たねばならなかった。
そんな苦労をしてやることと言えば、僕が加入していたプロバイダ「NIFTY-Serve」が開設する掲示板を色々と徘徊することくらい。 それでも、気になった書き込みに対して返信をし、それをきっかけにやり取りが続くようなことがあると妙にワクワクして、毎日23時になるのが待ち遠しかった。 このスマホ時代のSNSのリアルタイム感に慣れてしまった今では信じがたいが、当時はちゃんと夜になるまで大人しく待っていたのだ。
なんでもできるスマホももちろん便利で必要だけども、限られたコンテンツを制約がある中で楽しむというガジェット遊びも現代では逆に新鮮に映るかも知れない。
単なるオッサンのノスタルジーではあるが、もし今どこかのメーカーがモバイルギアのようなシンプルなガジェットを手の届きやすい価格で発売し、活気があって使いやすい掲示板をコンテンツとして用意してくれるとしたら、僕は是非もう一度、あの20年前のような使い方をしてみたいと思っている。