ホテルの高層階にある見晴らしの良い鉄板焼きレストランに昼食を食べに行った。 もちろん自腹では無い。 ランチ無料券を貰ったからである。
一人で鉄板焼きというのは人生で初だと思う。 話す相手がいない場合、正直どうふるまって良いのかがわからない。 シェフが目の前で肉を焼くのをアホ面で眺めてればいいの? なんてことを心配していたが、結構お一人様もいるようでとりあえず一安心。
椅子を引いてもらって席につくと、「別料金にはなりますが、何かお飲み物はいかがですか?」とウェイター氏。 結構です、というのもおかしいのでメニューを持ってきてもらう。
コーラが800円にビール小瓶が900円、と。 金粉とか高麗人参とか入ってるんかな?
努めて冷静を装いつつメニューを眺めているフリをしていると、ウェイター氏から「先日入荷しましたこちらの赤ワインなんか個人的にオススメですよ」と助け船。 えぇ、ご提案に乗っからせていただきますよ。 もちろんです。
首が細長くて折れそうなグラスで運ばれてきた赤ワイン、900円なり。 「サイゼリヤなら9杯飲めるな」なんてことはなるべく考えずに口にしてみると、確かに美味しいです。 料理を待つあいだ手持ち無沙汰なんで、香りを楽しむフリしてみたり、遠くを眺めながら口の中で転がしてみるフリをしてみたり。
肝心の鉄板焼きも美味しく頂きまして、最後に残りのワインを飲んでいると、ウェイター氏が近づいてきて「ワイン、お口に合いましたでしょうか?」と聞いてきた。 そして産地とかのウンチクを少し。
コミュ障の僕は半キョドってしまい、「飲みやすいです」と薬にも毒にもならないクソみたいな答えを返すのが精一杯だったことは言うまでもない。
たまにはああいうところで気軽にスマートに昼食ができるくらいの人間にはなってみたいもんだな、と思った次第。 良い経験させてもらいました、ごちそうさまです。