台湾のオバチャンのコミュ力の高さに震える。

台北に行ってMRT(地下鉄)に乗った。 時刻は夕方少し前、混んでいるという程では無いが座席は全部埋まっている。

僕が台湾で感心するのは、ちょっとでも自分より年上だったり肉体的にビハインドがあるとみた相手にはガンガン席を譲りまくるところだ。 老人には程遠いような中年にも、ちょっと小さな子供を引き連れたお母さんにも若者がどんどん声を掛けて席を譲ろうとする。 日本の感覚だと逆に失礼にあたらないかと心配になるくらいに。

ある駅でオバチャンが乗り込んできた。 60前くらいだろうか、別に足腰が悪そうだったり重い荷物を持っていたりする訳でもなく、至って普通の元気なオバチャンという感じだ。

オバチャンが車内を見回した時、奥のシートに座っていた東南アジア系の若いカップルがスッと席を立ち、ジェスチャーとアイコンタクトで「ここどうぞ」と合図した。

オバチャンはニコっと微笑みながら「いいのよ、いいのよ。次の駅で降りるから」と遠慮したが、すると今度は別の席に座っていた若い女性が「じゃあ私も次の駅なんで、こちらをどうぞ」と促した。

そう言われたら断る理由もなくなったオバチャンは若い女性と入れ替わりに席へと座る。

最初の善意を断る形になってしまって気を遣ったのか、オバチャンはその東南アジア系カップルに「台北にお住いの方? それとも旅行で来られたの?」と話しかけた。 「旅行です。 ◯◯の南から来ました」 「そうなのね。 何日間の滞在? ◯◯へはもう行った?」と続けるオバチャン。 (◯◯の部分は単に僕が聞き取れなかっただけです)

次の駅までなのでホンの1~2分程度なのだが、オバチャンはフランクかつスムーズに会話を楽しみ、最後に「じゃあ、良い旅をしてね!」と手を振って降りて行った。

日本人にはなかなか発揮できないこのコミュニケーション能力の高さにいたく感心してしまったのだが、それよりも何よりも中国語が全くわからない僕が会話の内容をある程度理解できたのはオバチャンが極めて流暢で聞き取りやすい英語を話していたからということ。

失礼ながらダッセぇジャージ着た一見田舎のオバチャンが繰り出す高度なコミュニケーションスキルとネイティブばりのスマートなEnglishを目の当たりにして、こういう光景が見られるからやっぱり異国に来るって良いもんだな、と僕はひとり考えていた。

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