複雑すぎてよくわからない・・・MTBのカテゴリーと用途をざっくり解説【ビギナー向け】

はじめに

ひと口にMTB/マウンテンバイクと言っても最近は用途や競技種目別にジャンルが枝分かれしてきており、特にスポーツタイプの自転車にまだ詳しくない初心者の方にとっては何が何だかよくわからない部分も多いかと思います。

加えて日本ではMTB人気が低くショップでの展示も少ないため必然的に選択肢が狭くなりがちで、「だったらロードバイクやクロスバイクにしとくか・・・」となるケースもあるんじゃないでしょうか。

ただ、これは日本がかなり特殊なマーケットというだけで、グローバルで見ればどちらかといえばMTBが本流です。 個人的には今の日本はあまりにロードバイク偏重になり過ぎていると感じますし、「よくわからないから」という理由でMTBを避けてしまうヒトが増えるのも悲しいので、今回はカテゴリー/ジャンルや種目別にMTBのタイプをざっくりと分けて説明してみたいと思います。

もちろん、明確な判別基準がある訳でも無くクロスオーバーする部分もありますし、私の主観も入るのでこれで全てわかるということはありませんが、例えば購入を検討して実際にショップに行く前に予習的な感じでざっくりとイメージをつかむのに使ってもらえれば幸いです。

MTBのカテゴリー

上述のようにクッキリと分けられる訳では無いのですが、用途によって備わる機能や重視されるポイントが変わってきますので、外観や使われているパーツからでもおおよその判断ができます。

今回はスポーツバイク界の2大巨頭とも言える「SPECIALIZED」社と「TREK」社のラインナップからバイクをピックアップして解説していきたいと思います。

ちなみに自転車部品メーカー「シマノ」のホームページでは、MTBの種類を説明するのに下図のような画像と名称を使っていますが、これだけでは区別が正直難し過ぎますね。。。画像も何となく似たり寄ったりですし、、、もう少しシンプルに考えてみたいところです。

ダウンヒル系(下り系、エクストリーム系)

まず、MTBならではですがオフロードの下り坂のみを走って楽しむ世界があります。 レースでも人気のカテゴリーですが、一般的な遊び方としては車でフィールド(オフシーズンのスキー場が多い)まで持っていき、リフトやゴンドラで山の上まで運んでそこから専用コースを下ります。

これはプロのレースの映像ですが極めるとこうした走り方になります。

荒れた路面をハイスピードで下るので、バイクは自転車というよりももはやモトクロスオートバイに近いイメージです。 長いストローク(200㎜以上)を持つ前後サスペンション、強力な大径のディスクブレーキ、太くて丈夫なタイヤとホイール等が特徴で、上りのことは考えなくて良いのでギアも下り向けの重い比率のものだけが付いています。 乗車姿勢も下りに特化しておりものすごく幅広のハンドルや低い位置に設定されたサドルが基本になります。

現在のSPECIALIZEDのラインナップでは、DEMOシリーズがダウンヒルバイクに該当します。

TREKだとSessionシリーズになりますが、ホームページ見ると今は日本向けには導入されていないみたいですね。。。 あまり数が出ないんでしょうが悲しいことです・・・。

おおよそ想像が付くとは思いますが、このダウンヒルバイクを普段使いで乗ろうとすれば相当の覚悟が必要でしょう。 上り坂に遭遇したらそれこそ地獄です。 必然的に競技もしくは休日にフィールドに持って行って遊ぶ用になることが多いので、ちょっと贅沢な品物とも言えますし初めてのMTBとして買うものでは無いかもしれません。

とはいえ、このメカメカしいルックスや次々導入される最新のテクノロジーには抗えない魅力があるのも事実で、敢えてこれを街中で乗ったりするスタイルもアリだとは思います。 事実、マウンテンバイクブームが起きていた25年程前には、このダウンヒルバイクをファッションアイテム的に街で乗っているヒトも結構いましたし、今では考えられませんがファッション雑誌にもよく取り上げられていました。 趣味の世界なので、自分が乗っていて楽しいのならばもちろんそれはそれで正解でしょう。

もう一つ、下り系として「フリーライド」というカテゴリーがあります。 これも定義が難しいのですが現代ではかなりエクストリームな競技、遊び方を指すようになっていると思います。 プロの映像ですがこのようなイメージの世界です。

下るというより「落ちる」といったレベルの走り方で、バイクもダウンヒル寄りになりますが、ちょっと素人には近寄れない世界なので、ここはあまり考えなくても良いかと思います。

エンデューロ系

比較的新しい競技のカテゴリーのひとつで、上のダウンヒル系の要素をメインとしつつ自走で上り坂を登ることも必要とされるのがエンデューロです。

こうした映像ではどうしても迫力ある下りのシーンが取り上げられがちなのでダウンヒル系と区別が付きにくいですが、自動車のラリーのようにいくつかのステージが設けられ、それらの間を自力で移動する必要があるため平坦や上りをこなすことが求められます。

そのためダウンヒルバイクに近いロングストロークなサスペンション(150~180㎜程度のストローク)を備えつつ、上りにも対応できるワイドなギアレシオ、下りでは低めに上りでは高めにとサドルの位置を自在に手元で調整できるドロッパーシートポスト等を持つのが特徴です。

バイクで言うとSPECIALIZEDではENDUROシリーズ、

TREKではSlashシリーズあたりが該当するでしょう。

下りではダウンヒルバイクに近い安定性を持ちながら上りにもある程度対応できるため、オフロードの下りをメインに楽しみつつ、そこまでのアプローチやあるいは時には普段使いにも活用したいと考える方には大本命となるでしょう。

ダウンヒルバイクに比べれば軽量で取り回しもしやすいので、ゲレンデ等の専用フィールドの下りにおいてもむしろエンデューロバイクの方が乗りやすいという人も多いかと思います。

トレイル系(山遊び系)

上述の2カテゴリーがどちらかというと競技指向・競技由来であるのに対し、このトレイル系は遊び方から生まれているので一般的なユーザー、オフロードや山遊びを楽しみたい方にはここに属するバイクが最適解になることが多いでしょう。

シングルトラックと呼ばれる細い山道や林道、遊歩道等を上り下り平坦と走り回って楽しむようなスタイルで、競技のジャンルではありませんので、走り方やスピードは好みやレベルに合わせて自由ですし、もちろん平坦だけや上りメインのルートでもOKです。

ハイキングやトレッキングのように自然に触れあいながら老若男女問わず広く楽しめるという点からも、今のMTB界でメインストリームといえるカテゴリーかと思います。

バイクの特徴としては前後にサスペンションを持つフルサスタイプが主流ではあるものの、軽さも重視してストロークはやや短め(150㎜前後)、上りでも使いやすいワイドなギア比、エンデューロバイク同様にサドル高さを手元で変えられるドロッパーシートポストを備えるモデルが多くなります。

SPECIALIZEDですとSTUMPJUMPERシリーズ、

TREKだとFuelシリーズ等が該当するでしょう。

一方、リヤサスペンションを持たないハードテイルと呼ばれるトレイルバイクも根強い人気があります。

SPECIALIZEDだとFUSEシリーズ、

TREKですとRoscoeシリーズが当てはまります。

フルサスペンションバイクに比べれば当然乗り味は硬くなるものの、シンプルで軽量、メンテナンスのし易さ、価格の安さなどメリットも多く、上級者の中にも敢えてこのハードテイルを選び乗りこなす楽しみを追求する人が見られます。

クロスカントリー系

MTBの基本とも言えるこのカテゴリーですが、近年はかなりレース指向というかストイックでアスリート的な乗り方を指すことが多くなっているように思います。

上り下りのある周回コースを走り順位を競うのがクロスカントリー競技なのですが、効率を究極まで追求するため、バイクには衝撃を吸収する快適性やリラックスしたポジションというよりも、いかにパワーをロスせず早く走ることができるかが求められます。

カーボンファイバーを使った軽量なフレームや比較的前傾の深いライディングポジション、短めのサスペンションストローク(100~120㎜前後)がクロスカントリーバイクの特徴になりますが、そのストイックな雰囲気は鍛え上げられたアスリートの肉体のような魅力があり、陸上競技やマラソンを楽しむような人にはピッタリとマッチするかもしれません。

バイクの特徴としては、以前は軽さやペダリング効率を重視しリヤサスペンションの無いハードテイル、SPECIALIZEDですとCHISELシリーズ、

TREKだとX-Caliberシリーズのようなモデルが主流でしたが、

最近はレースのコースレイアウトがよりテクニカルになってきたことや、技術の進化によりリヤサスペンションシステムが軽量・高効率になってきたことでフルサスペンションモデルが増加しています。

SPECIALIZEDだとEPICシリーズ、

TREKだとSupercaliberシリーズが該当するでしょう。

ともすればストイックなイメージから初心者にはハードルが高いように感じさせるクロスカントリーバイクですが、逆に考えればシンプルで取り回ししやすい軽量な車体、細身で美しいデザイン等はならではの魅力です。

ハンドルやステムを交換することでゆったりとした楽なポジションに変更することもできますし、岩のゴツゴツしたハードな下りを走りたいとかビッグジャンプを決めたいといったライダーで無い限りは日本の山道ではクロスカントリーバイクが一番扱いやすいという場合も多いでしょう。 軽いので街乗り用に使うのももちろんアリです。

ダートジャンプ系

続いてややニッチなジャンルになりますがダートジャンプやスロープスタイルと呼ばれるスタイルを挙げてみます。

ジャンプ台が設けられた専用のコースで技を組み合わせてその完成度を競うもので、自転車でありながらどちらかと言うとスケボーやスノーボードのハーフパイプのようなスポーツに近いテイストを持っています。

使用されるバイクも極めて特殊なものになり、ペダリング効率やスピードは全く求められないため変速機無しのシングルスピードバイクが基本です。 操作性やトリックのし易さを重視してフレームサイズは非常にコンパクト、ホイールのサイズも他のカテゴリーでは29インチもしくは27.5インチが装着されるのに対し、ダートジャンプバイクでは26インチが使われ続けています。

SPECIALIZEDですとP3シリーズが該当します。

TREKにはTicketというバイクがあるのですが、フレームでの販売となり現在日本向けにはラインナップされていないようですね。。。

ダートジャンプバイクにはショートストローク(100㎜程度)のフロントサスペンションこそ装備されることが多いものの、競技においては必要性の低さからフロントブレーキすら省かれたり(公道では違法になります)、座って漕ぐことは全く想定されていないライディングポジションになっていたりと非常に特徴的なカテゴリーと言えるでしょう。

とは言えシンプルで多少のことではビクともしない強固な車体と、ウィリーやマニュアル、バニーホップといったトリックを習得しやすい操作性の高さ等、特にエクストリームスポーツ系が好きな人にとっては非常に魅力的な選択肢でもあります。 MTB向けフィールドやトレイルに行かずとも街中や公園などで楽しむことができるのも大きなメリットになります。

ファットバイク系

これも非常にニッチになりますが、極太のタイヤが特徴のファットバイクと呼ばれるカテゴリーがあります。

SPECIALIZEDだとFATBOYシリーズ、

TREKですとFarleyシリーズになります。(これも国内展開無さそうですが・・・)

フレーム自体はシンプルなのですが、何と言っても目を引くのは幅3インチ(約76㎜)を超える巨大なタイヤ。 この接地面積の広いタイヤにより砂や雪の上といった不安定な状況下でも高い走破性を誇るので、砂浜や砂丘、雪山等のやや特殊なロケーションで活躍することが多いようです。

クッション性の高さやルックスのインパクトから敢えて街中で乗りこなしている人もたまに見ますが、重量があり走行抵抗も大きいので正直楽では無いでしょう。

乗るフィールドやシチュエーションを選べばピッタリとはまりそうですが、初めて買う一台としてはちょっとハードルが高いように思います。

E-MTB系

近年派生したカテゴリーとして忘れてはいけないのが電動アシストタイプのE-MTBです。 日本では電動アシスト自転車というとまだまだお買い物用や子供乗せ用の軽快車タイプのイメージが強いですが、海外特にヨーロッパではこのE-MTBは既に一大勢力としてマーケットを牽引しています。

本格的なスポーツ走行にも対応できるモーター出力とバッテリー容量を持ち、辛い上りはアシストで楽々、平坦や下りの美味しいところは通常のMTBと同様に、という夢のような乗り物です。 アシストによって体力差を埋めることができるので、例えば男性と女性、あるいは若者とお年寄りといったこれまでは一緒に走りにくかったライダーがグループとして楽しめるというメリットも生まれます。

最近はレースも開催されるようになってきていますが、元々はレース由来・レース指向でありませんのでバイクのタイプとしては楽しむためのトレイル系が主流です。

SPECIALIZEDですとLEVOシリーズ、

TREKだとRailシリーズや、

Powerflyシリーズが出ています。

最低でも30万円程度からとどうしても価格帯が高くなってしまうのと必然的に車体が大きく重たくなってしまうこと、まだ日本では展開するブランドが少ないというのがネックですが、今後は初めてのMTBがE-MTBという人も増えてくるのかもしれません。 これから要注目のカテゴリーです。

最後に

偉そうにずいぶん色々と書いてしまいましたが、もちろんこれらの分類や説明に明確な定義がある訳ではありません。 趣味のモノなので「デザインやカラーリングが気に入ったから」という理由でエイヤで選ぶのももちろんアリでしょう。 自分が愛着を持てることが一番大切ですから。

今回挙げた画像は結構価格帯が高めのモデルを中心に選んでしまいましたが、シリーズ内でパーツ構成の違いにより複数のグレードが用意されていることが多いので、じっくりと探せば自分の予算と好みに合ったピッタリの一台に必ず出会えることと思います。

ただ個人的には、趣味のモノだからこそ、ある程度の(これも曖昧ですが・・・)バイクを買うのが良いと考えています。 使われているフレームや部品自体の性能や耐久性が高かったり、後々パーツ交換をして自分好みにしていく際に選択肢が多かったりと、結局長い目で見るとむしろ安く上がることが多いからです。 比較的価格の安いトレイル系やクロスカントリー系のハードテイルバイクでも10万円クラスからをオススメしたいところです。

バイク本体以外のアクセサリーやアパレル類に追加でどれくらいの費用が掛かるのか不安な方もいるかもしれませんが、レースで勝つことを目指すといった方で無い限りはそれほど大きなコストを掛けなくても十分楽しむことができると思います。

ヘルメットだけはキチンとした自転車向けブランドのものを買うのをオススメしますが、グローブなんかはフィットさえしていればメカニックグローブや軍手みたいなものでも良いでしょうし、シューズは普通のスニーカーやトレッキングシューズでも構いません。 ウェア類はワークマンやユニクロで揃えても全然問題無いと思います。 あるいは他のスポーツで使っているウェアやプロテクター等を流用するとかですね。

誰もが予算に余裕がある訳でも無いですから、用具を揃えるためのハードルはできるだけ低くし気軽にMTBを楽しめるようにしておきたいところです。

以上、だいぶ長くなってしまいましたが、個人的に考えるMTBの種類・分類を説明してみました。

気付いたところがあればまた修正・追記していきたいと思います。

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