台風21号で帰宅難民になるもバイクシェアリングに救われる。

当日の状況をサブブログ【追記:現在は統合済】で少し書かせてもらったが、台風21号は僕の甘い予想をはるかに超える破壊力だった。

その日、僕は仕事の用事で大阪市内にいたのだが、台風が通過する時間帯は大きなビルの中で作業をしていたため、その威力をあまり実感できていなかった。 正直、完全にナメていたと言ってよいだろう。

しかし、仕事が終わって帰宅する段階になって初めて、その甘い考えを思い知ることになる。

強い風こそ収まっていたものの、街にはずっと消防車や救急車のサイレンが鳴り響き、道路には大小ありとあらゆるモノが散乱していた。 鉄道はもちろん運行を中止していたものの、幸いにも地下鉄の一部が動いていたので僕はいったん天王寺駅に向かうことに決めた。 とりあえず色々な路線が乗り入れるターミナル駅に行けば、その後の行動の選択肢が多くなると考えたためである。

いつもならビジネスマンや買い物客で賑わう駅改札も今日はこの通り。 さすがにこの状況では移動できる範囲は限られるので当然だろう。

空いた地下鉄にしばらく乗り天王寺駅に到着。 地下街を少し歩いてみることにする。

ほぼ全ての店が閉まり、地上への出入口も封鎖された地下街は当然のごとくガラガラであった。 唯一開いていたモスバーガーに入りしばし休息。 この先どうするかを考えねばならない。

電車が動く見込みはほぼ無いことはわかっていたものの、一応JRの改札にも向かってみる。

まぁ当然である。

目立つのは大きなスーツケースを抱えた外国人旅行客の姿。 せっかく楽しみに来ていた日本旅行でまさかこんな目に会おうとは思いもしなかっただろう。 自分にはどうにもできないとはいえ何だか申し訳ない気持ちになってしまう。

風はだいぶ収まり、雨も小降りになってきたので駅の周辺を少し歩いてみることにする。

シャッターは至る所でこんな姿に。

普段は多くの買い物客が行き交う駅前の歩道橋も、さすがに歩く人はまばら。

歩道橋から下を見てみれば道路と歩道はこんな感じなのだから当然だ。 グニャグニャになったガードレールが怖すぎる。

日も暮れ始め駅のタクシー乗り場には帰宅難民となった人たちが長い列を作っている。 僕もそろそろ真剣に帰宅方法を考えねばならない。

地下鉄御堂筋線は動いていたため、とりあえず中百舌鳥駅までは行くことができる。 そこまで行けば最悪歩いて帰れないこともないだろう。

到着した中百舌鳥駅には今まで見たことの無い光景が広がっていた。 駅前に溢れかえる人、人、人。 おそらくここが公共交通機関で辿り着くことのできる南端なのだ。 とりあえずここまで来ようと皆が考えるのもおかしくはない。

タクシー待ちの列はもうどこが終わりなのか全くわからない。 停電により真っ暗になったマンションやオフィスビル。 僅かに営業している飲食店の前には、自宅までの長丁場を覚悟してか、とりあえず空腹を満たしておこうとする人々が長い行列を作っていた。

ここから歩いて帰る覚悟もできている僕だったが、実はひとつ秘策を持っていた。 以前にブログ記事にも書いた堺市が運営するバイクシェアリング(シェアバイク)システム「さかいコミュニティサイクル」のレンタルポートがここ中百舌鳥駅にあるのだ。

(写真は以前に撮影したもの)

僕は登録カードも作ってあるため、もしレンタサイクルが残っていればここで借りて家まで帰ることができるはずだ。

しかし、さすがにこんな状況だ。 営業自体を休止しているかもしれないし、たとえやっていたとしても全部借りられている可能性が大だろう。 

ダメもとでポートに向かうと、そこにはちゃんと係員のオジサンがいて「26インチ、最後の1台がありますよ」と言う。 なんというラッキー、僕は迷いなく借りることにした。 しかも停電でシステムがダウンしている関係で料金が徴収できないので、なんとタダで良いとのこと。

「明日の朝、返しに来ますので。」 親切なオジサンの対応と幸運に感謝して僕は自転車での帰宅を開始した。

そこから自宅までの道のりでは、その後のニュース映像で繰り返し流されたのと同じ光景を何度も目にした。 電線に引っかかった巨大なトタン屋根。 根本からポッキリと折れた鉄製の看板。

途中、ゲリラ豪雨に見舞われたりしつつも約40分掛かって一応無事に自宅に到着した。 まぁビショ濡れになるくらいなんでもない。 もし駅から歩いて帰宅していたら軽く2時間以上は掛かっていただろうから。 とにかく自転車にこれほど感謝したことは無い。

翌朝、自転車を返却するために再度駅へと向かう。

台風一過で空は晴れ渡ったが、あちこちに台風の爪痕が。

大阪市内でも信じられないくらいの大木が倒れている姿や、粉々に破壊された信号機など、我が目を疑うような光景に何度も遭遇することになった。

このような大きな災害の中、自身が無事に帰宅できたこと、そして家族や自宅に特に被害が無かったことに改めてホッとした次第だ。

まとまりの無い文章になってしまったが、以上が私の今回の台風体験である。

最後に、被害に遭われた方々の一日も早い復興をお祈りいたします。

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